こんにちは、らくからちゃです。
ちょーっとだけ前のことだけれど、お仕事でトラブルがあっててんやわんやしていました(;・∀・) 特定されるのもアレなので、ちょっとだけぼかして書いてみるとこんな感じ。
- 上司が業者に機材の発注を掛ける。
- 予算がかカツカツで、担当者にかなり無理を言って値引いて貰った。
- 『機材据付』費を、ぼくにやらせるという条件で値引いて貰うΣ( ̄ロ ̄lll)
- ぼく、機材の受入担当を仰せつかる(`・ω・´)
- 据付マニュアルを見ると『専門の作業者が行う』のひと言(´・ω・`)
- 社内用でいいのでマニュアル無い?と担当の人に聞く。
- 帰ってきたのは部員全員『これはアカンやろ』という内容のもの(´Д⊂
- 上司に報告すると上司激おこ٩(๑òωó๑)۶
- 【イマココ!】業者さんがお詫びに来る
といった感じ。なんっつーか、ムリを言ったのはこっちだしアレコレ言うのもちょっとねえ・・・とは思うけど、やはり会社員としてはお小言、いわゆる『クレーム』を言うしか無くなっちゃうんですよね。
さてさて、Google先生に「クレーム」なんてキーワードで相談してみると、「クレームを入れられた時」についてはすぐに見つかるんですけど、「クレームの入れ方」みたいなものはあんまり出てこないんだよね。
わたしも、クレームは入れるより入れられるほうが多いのですが、ほーんとクレームって毎回毎回いろんなドラマがありますよね。でも、クレームの入れ方一つで、その後の仕事の関係って、結構変わってくる気がします。今まで受けてきた中で、一番印象に残っている「クレーム」についてぼそっと書いてみたいと思います。
若気の至り
今から2年か3年位前かなあ。わたしは、小さな案件のリーダーに任命されました。
金額は、総額でン百万程度。スケジュールは3ヶ月くらい。リーダーと言っても、メンバーはわたしとエンジニアさんが一人の小規模なものでした。だいたい週1でお客さんのところに行って課題整理をして、2日くらいかけて設計を整理して、残り2日は別のお仕事をする。そんな感じでやっておりました。
当初、上司がサポートすることになっていたんだけど、上司が打ち合わせに参加することは途中からなくなり、ほぼひとりで資料を作って、議事録を書いて、設計を考えて・・・まあそんな感じでした。どんなことをしてたのかというと、こういった連携プログラムって、ただ右から左にデータを回すだけじゃなくて、途中で集計処理みたいなのが入るのね。その集計の仕方についてアレコレ考えていたわけですな。
打ち合わせを経ていく毎に、内容はどんどん高度になっていく。本当はそこで、ちゃんと上司に相談すればよかったんだけど、この仕事以外の案件も手が離せず、誰にも相談できないうちに、どんどんプログラムは複雑になっていくんですね。
本当はこの時点で、『そんなに難しいことをやるのであればスケジュール遅らせないと無理です』とか『当初のスコープに無いので、追加の費用を下さい』って言わなきゃいけなかったんだよね。だけどそこまで気が回るわけもなく、本来そこをハンドリングするはずのPMは他案件で不在な上に、その代行のはずの上司は打ち合わせにすら顔を出さない。
おまけに、エンジニアさんに仕様を伝えても『こんなの作れるワケがない』といって突き返されて、もう完全に孤立無援状態。仕方ないから、一番コアになるデータ解析部分は、自分で設計を起こして、自分でコーディングすることにしました。
その頃は、『仙豆が必要』とか『1日は3人日』とか『精神と時の部屋が欲しいわ・・・』とか『らくからちゃさんは貴重な資源なので大切に使って下さい』とか、『みんな、少しずつでいい、オラに工数を分けてくれ!』とか、そんな謎のセリフを呻きながら、朝から晩まで、土日もなくひたすら手を動かし続けていました。
その結果ね、プログラムはできちゃったの。
今思い出しても、よくあんなもん作ったなーとは思うけど、お客さんに渡してから問題が多発した。
まず、トラブルになったのは、想定外のパターンで結果が不正になること。あれだけ議論したにも関わらず、パターンは全て拾いきれていなかった。更にまずかったのがパフォーマンス。社内でテストしていた時の、何百倍ものデータが流れ込み、画面で操作すのが使い物にならないくらい画面がフリーズした。
でまあ、お客さんの検証作業は遅れに遅れ、更にプログラムの不具合と追加要望とがゴチャゴチャになり、誰にも収束点が見えなくなったときに、先方の部長から連絡が入りました。
A Bed Of Thorns
連絡を入れてきた部長さんは、紳士っぽくもあるも、きっと起こったらすんげー怖いんだろうなあという感じの50代くらいのおじさま。トネガワさんみたいな感じ。
対する弊社部長(打ち合わせサボり魔)は、美味しんぼの富井副部長級の愉快なナイスミドル。
そんでもって、いろいろとやらかしまくった僕はさしずめゴルゴダの丘を登るキリストの気分。
THE針のむしろ☆
打ち合わせに参加したのは、両者ともフルメンバー。そんな中、トネガワ氏の過去の経緯の振り返りと状況の分析が始まった。
どういった約束で作業されるはずが、それがどれくらい守られなかったか。そして、トネガワ氏の部下たちがどれくらい大変な目にあったか。今までの経緯を、詳細に、嘘偽りなく静かに語るトネガワ氏。
これはあれだなー、損害賠償だとかそんな話だなー。少なくともメンバーから外されるなー。暇になったら転職活動でもすっかなー・・・。とそんなことを思っていたら、当時の私にはちょっと耳を疑うような言葉が飛んできた。
『らくからちゃ君には、感謝している。』
・・・(゚Д゚)ハァ?
PJが破綻しちゃったのはわたしのせいですよ。それはさっきの説明でも明らかじゃないですか。何を言い始めよるん?と思っていると、次のように続けてきたんですね。
彼が、難易度の高いプログラムの動作仕様をまとめてくれたのは理解している。その作業を、他の作業と変更しながら、夜遅く、土日までやってくれたことも。この作業は彼でしかできなかったし、これからも彼に担当して欲しい。
悪いのは、彼がこの作業にだけ集中できる状況を作れなかったことと、その状況をきちんと管理バクアップ体制が無かったこと。
もはや、当初要求と追加希望を区別することも困難な状況になってしまった。こちらとしては、今までの遅れやバグについては水に流す。その代わり、現時点で上がっている要求については、区別することに係る時間も勿体無いので、全て当初要求として対応して欲しい。
また、彼が集中して対応できるように、メンバーの増強や管理の体制をしっかりして欲しい。
その言葉を聞き、うつむく弊社部長。
ハラキリ覚悟で行ったはずなのに、帰りの電車では『いままで丸投げにしてごめんな』と部長に謝られ、社に戻ると、すぐに体制の立て直しが図られた。エンジニアさんも、部内で一番の腕利きのメンバーに代わり、わたしが担当していた他案件については作業を大幅に減らしてもらった。また、今まで一人で行っていた課題管理は別の人にやってもらえるようになった。
現場の人間を非難しても何も変わらない
あのときは、まだヒヨッコだったので何もわからずにポカーンとしてしまったけれども、今になったらトネガワ氏の意図や狙いもよく分かる。
こういった場で、現場の人間を糾弾し、非難してイジメ抜いても、クレームを入れる側としては気が晴れる以外のメリットは何もありません。
途中でメンバーが変わるとしても、しばらく現場担当者は関わり続けることになる。場合によっては、その『文句を言いたい』担当者でしか出来なかったり、担当者を変えたら更に自体が悪化することも少なくない。ならば、現場担当者のモチベーションを高めるような言葉を掛けたほうがよっぽどいいんです。
また、いくら下っ端の担当者をイジメ抜いたところで、良い方向に進むことは何ら無いんですね。むしろ、現場担当者は『共犯者』として丸め込み、その背後からのバックアップを引き出したほうが有益なんです。
『おとしどころ』を探る
今回の一見は、会社対会社の取引ということに限っていえば(書ききれないところも含め)弊社側に落ち度があった。相手は、やろうと思えば契約の無効を主張し、損害賠償請求を行うことすら出来た。
でも、実際そこまでこじれるような話はそうそうにないんですよね。学校ではほとんど習わない、ビジネス現場でよく使う用語として『おとしどころ』という物があります。両者言い分を真っ向に主張してしまうと、結局両者の為にならない。だから、お互いに飲める条件の合意点を探していく。
これを『おとしどころを探る』なんていう風にいうんですね。
今回の場合、
- 御社:過去のプロジェクトの遅れやバグについては目をつぶる
- 弊社:本当であれば契約対象外の要望も受け入れ、体制を強化する。
これが『おとしどころ』でした。
こういったクレームに慣れている人は、最初から『このラインだったらお互いに納得できるかな?』という落とし所を用意して臨みます。逆に、『とにかく文句が言いたいだけの人』は、お互いの損失を増やすだけでしか有りません。
罪を憎んで人を憎まず
結局、わたしの『やらかし案件』は遅れに遅れたものの、エンドユーザーにとってある程度満足のいくものを作ることが出来ました。また弊社としても、この案件単体では赤字になってしまったのですが、得た知見を活かして継続して受注を行わせて頂いております。また副次効果として、このシステムとの連携をしたことがきっかけで、他の案件でもこの時の経験が生きていると聞いています。
クレームを受けた時、どんな風に言われたかは、その後の取引に大きく影響を与えます。なんやかんやで人の流動性も高くなっている今日、昨日の取引先が明日の上司になっていても不思議は有りません。
また、取引は続いていく中で、『理不尽な言い分を通された相手』と『こちらの言い分も聞いてしっかり話を聞いてくれた相手』とでは、目に見えない部分でサービスには大きな差が出ます。
さて今回の『据付マニュアルついてないよ事件』では、以下の様な形で収まりました。
- 担当の方には親身に対応して頂き、非常に感謝している。
- ただ、マニュアルが無い以上こちらでは組み立てられないので支援して欲しい。
- また、今後こういったことが起こらないよう、『取り外し不可』と明記するなど、の対応を組織として行って欲しい。
こんなことにならないようにして貰うのが大前提ではありますが、一度トラブルが起こってしまったら、それをどう収めていくのかは、ある意味、会社員としての腕の見せ所でもあります。まあそんなことにならないようにするのが一番なんですけどね(;´Д`)
もし、どこかで誰かの参考になれば幸いです。
ではでは、今日はこの辺で。